
1. なぜ「介護」と「相続」はセットで考えるべきなのか
親が高齢になると、ある日突然介護が必要になるケースは少なくありません。その際、介護費用を誰がどのように負担するのか、将来実家をどう処分するのかといった問題が同時に発生します。
親の資産状況を把握していないと、子供の自己資金から介護費を補填することになり、将来の相続時に兄弟間で「誰が多く負担したか」というトラブルに発展することもあります。介護と相続は別々に考えるのではなく、一体の課題として事前に準備を進めることが大切です。
2. 認知症による「口座凍結」のリスクと対策
親の認知症が進行して意思能力が低下すると、銀行口座が凍結され、医療費や施設入居費のための出金ができなくなるリスクがあります。これを回避するために、以下の手段を検討しておきましょう。
- 代理人指名口座(代理人カード)の設定: 親が健在なうちに、口座の代理人を指定しておくことで、日常的な出金手続きがスムーズになります。
- 家族信託の導入: 親の財産管理権を信頼できる子供に託す契約です。口座凍結後も管理者が柔軟に資金を動かすことが可能になります。
- 任意後見制度の検討: 将来に備えてあらかじめ後見人を定めておく制度で、認知症発症後の財産管理を公的にサポートします。
3. 実家の名義と将来の方針を早期に確認する
相続トラブルで最も多いのが「実家をどうするか」という問題です。空き家放置を防ぐためにも、親が元気なうちに以下の点を確認しておきましょう。
- 登記簿の確認: 実家の名義が亡くなった祖父母のままになっていないか確認します。
- 親の意向の確認: 将来的に売却したいのか、誰かに住み続けてほしいのか、本人の希望を聞き取ります。
- 遺言書の作成検討: 特定の相続人に実家を遺したい場合は、公正証書遺言の作成が有効です。
4. まとめ:家族で共有することが一番の予防策
介護や相続の話は切り出しにくいものですが、「もしもの時に困らないように」というスタンスで親の意向を聞くことが第一歩です。親の意思がはっきりしているうちに資産状況を整理し、家族全員で情報を共有しておくことが、円満な老後資金繰りとスムーズな相続につながります。